目次
ダニ対策は、やることの順番で結果が大きく変わります。効果の実測値が公表されている順に並べると、こうなります。
| 対策 | 効果(実測) | 手間 |
|---|---|---|
| ① 湿度を50%以下に保つ | 増殖できなくなる | 無料〜 |
| ② 高密度織物のカバーをかける | 回収アレルゲンが1/100〜1/1000 | 買えば以後は洗うだけ |
| ③ 布団を丸洗いする | 1/10〜1/100(ただし約4か月で戻る) | 費用と日数がかかる |
| ④ 掃除機をかける | 約半分(続ければ低く維持できる) | 3日に1回 |
| ⑤ 天日干しする | 湿気を飛ばす(干した後の掃除機がけが必須) | 天気しだい |
②③④の数値は、国立病院機構相模原病院 臨床研究センターの報告(室内環境 12(2):87-96, 2009)によるものです。
①湿度を50%以下に保つ
いちばん根本的で、お金がかからない対策です。
同報告は「ダニは気温25℃、相対湿度75%前後で最もよく増殖し、相対湿度が50%以下の環境では増殖することはできない」としています。愛知県衛生研究所も「湿度50%以下では繁殖できず」と同じ数値です。
温度のほうは25〜30℃が好適とされますが、人が寝る部屋を25℃未満に保ち続けるのは現実的ではありません。動かせるのは湿度です。除湿機やエアコンの除湿、換気で下げます。
②高密度織物のカバーをかける
効果がいちばん大きい「もの」の対策です。 薬剤ではなく、生地の目の細かさでダニとアレルゲンを通しにくくします。
前掲の相模原病院の報告は、こう書いています。
カバーをすることにより掃除機で回収されるアレルゲン量はカバーをしない時に比べて1/100から1/1000に減少する。しかも、1年半繰り返し使用したカバーもあまり劣化することなく、十分にその機能を保持している。
環境再生保全機構(ERCA)も「ダニの通過を阻止する高密度繊維の防ダニカバー、防ダニシーツの使用が推奨されています」と明記しています。
同報告には、1歳未満の乳児57例を2群に分けた試験で、防ダニカバー使用群のほうがアレルゲン量・感作の割合・喘鳴の割合のいずれも有意に低かった、という結果も紹介されています。
③布団を丸洗いする
丸洗いはアレルゲンを1/10〜1/100に減らします。強力ですが、そのまま放置すれば約4か月で元のレベルに戻る、と同報告は付け加えています。
つまり丸洗いは「リセット」であって、維持は②④が担当します。順番としては、丸洗いでリセットしてからカバーを掛けるのが理にかなっています。
料金は宅配10社の実額を比べた記事にまとめています(1枚8,250円〜、2枚パックなら1枚あたり5,200円〜)。
④掃除機をかける
掃除機がけは、汚染を約半分に減らします。半分と聞くと弱く思えますが、同報告は「これを繰り返し励行することによって汚染を低いレベルに維持することができる」としています。
東京都の指針が示す具体的な数字は次のとおりです。
- 1m²あたり20秒以上かけてゆっくり動かす(畳1畳で30秒〜1分)
- 3日に1回は行う
- 吸引力は通常のもの(仕事率200W以上)で十分。フィルターは高性能のものを使う
シーツ・カバー類の洗濯は、ERCAが「週に1回は洗濯をしましょう」としています。
⑤天日干しは「湿気を飛ばす」係
天日干しでダニが死ぬ、とは公的資料には書かれていません。位置づけは乾燥です。前掲の報告も「天日干しなどで湿気の除去に留意しながら、掃除機がけをこまめに励行する」という順で書いています。
福島県は、天日干しについて次のように書いています。
黒い布で覆うと高温(50℃以上)になるので、殺虫には効果的です。 干した後の布団の表面に、掃除機をかけて下さい。(ダニの死骸をとるため)
干したあとの掃除機がけまでが一組です。死骸やフンは干しただけでは減りません。
なお、干せないときは布団乾燥機で代用できます。東京都は「梅雨時期などは布団乾燥機を使用するとよいでしょう」、ERCAは「干すのが無理な場合には布団乾燥機を使用するのもよいでしょう」としています。
熱で死ぬ温度(公的資料の数値)
熱に弱いのは確かですが、公的機関のあいだで数値に幅があります。よく見かける「50℃で20分」という言い方は、公的資料では確認できませんでした。
かゆみの正体は、フンと死骸
駆除だけでは足りない理由がここにあります。愛知県衛生研究所は次のように説明しています。
ダニの糞は大きさが小さく、乾燥するとさらに小さくなって空中に浮遊するため気管に入りやすく、さらにアレルゲン活性は生きているダニや死骸よりも高い
だから対策の主眼は「殺す」より**「取り除く・通さない」**に置くのが合理的です。②③④が上位に来るのは、そのためです。
効果がはっきりしないもの
前掲の報告は、中立の立場からこうも書いています。
多くの殺ダニ剤、ダニ忌避剤や空気清浄機のように、その有効性が疑問視されるものが決して少なくない
また、環境整備がアレルギー疾患の予防・改善につながるかについては「有効であるとする報告と、無効であるとする報告が相半ばしている」とも述べられています(小児では有効という結果が少なくない一方、成人の気管支喘息などでは無効という結果が多い)。
寝具のダニを減らすこと自体は数値で確認できますが、それが体調をどれだけ変えるかは人によります。 体調そのものが心配な場合は、医療機関に頼る4つのサインを確認してください。
今日やることを1つ選ぶなら
かゆみや黒い点に気づいた日は、布団の黒い点の見分け方で原因を確かめてから、シーツ・カバーの洗濯(週1回)を先に回してください。湿度計がなければ、それを買うのがいちばん安い第一歩です。
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