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先に、探しても見つからなかったことを書きます。マットレスの寿命の年数について、公的機関や業界団体が示している目安はありません。
「8〜10年」という数字は多くの寝具メーカーが自社サイトに掲げていますが、根拠となる測定データや公的基準は示されていません。全日本ベッド工業会にも、消費者庁の表示事項にも、耐用年数の定めはありませんでした。
年数では決められません。 代わりに使えるのは、法律で表示が義務づけられている数値です。
法律が表示させている2つの数値
ウレタンフォームのマットレス(ウレタン部分の最大厚さ50mm以上)は、家庭用品品質表示法により、次の表示が義務づけられています。
① 硬さ(ニュートン)— 区分まで法律で決まっています
| 表示 | 硬さ |
|---|---|
| かため | 110N以上 |
| ふつう | 75N以上110N未満 |
| やわらかめ | 75N未満 |
商品ページの「かため」という言葉は、メーカーの感覚ではなくこの区分にもとづいた法定表示です。数値が併記されていれば、他社と直接比べられます。
② 復元率(%)— これが耐久性の指標です
復元率は、繰り返し圧縮したあとに厚みがどれだけ戻るかを示す数値で、JIS K 6400-4 の試験にもとづきます。法律が耐久性の指標として表示させているのは、この復元率です。
なお消費者庁は、「復元率96%」のように実測値で書くことを求めており、「復元率95%以上」といった書き方は不適切としています。
「◯D」は耐久性の基準ではありません
ウレタンマットレスの商品説明でよく見る「30D」「35D」といった密度の表記には、耐久性の基準がありません。
密度は JIS K 7222 で測り方が決まっているだけの物性値です。「何D以上なら長持ちする」という基準は、規格にも法律にも存在しませんでした。ウレタンフォーム工業会が耐久性の指標として挙げているのも、密度ではなく繰返し圧縮残留ひずみです。
比べるなら復元率のほうです。 Dの数値は、同じ製品シリーズ内の相対比較くらいに考えてください。
スプリングマットレスは、そもそも情報が少ない
スプリングマットレスの表示義務は、構造・寸法・詰物材料・外装生地の組成・使用上の注意・表示者名だけです。硬さも復元率も、耐久性に関する表示義務がありません。
つまりウレタンとスプリングでは、買う前に得られる情報の量が違います。スプリングを選ぶなら、数値ではなく実際に横になって確かめるしかありません。
ベッドとしての耐久性には規格があります。JIS S 1102は、80,000回の繰り返し加圧試験のあとのへたり量が40mm以下であることを求めています。ただしこれはベッド(マットレスとフレームの組み合わせ)としての要求で、敷き布団単体には適用されません。
自宅でのへたりの確かめ方
家庭で使える公的な判定基準はありません。実用的には、次の2つで見ます。
- 平らな床に置いて、真横から見る。 腰が当たる位置だけがくぼんでいれば、そこが劣化しています。四つ折り・三つ折りタイプは、折り目の山谷と区別してください
- 寝て、腰の下のすき間を測る。 厚生労働省の情報サイトによれば、立った姿勢での腰のすき間は4〜6cm、寝た姿勢で負担が少ないのは2〜3cmとされています。手が楽に入るほど沈んでいるなら、支えが足りていません
買い替える前に試せること
上下・裏表を入れ替える。 腰の位置が変われば、くぼみの上で寝ずに済みます。片面仕様のものは裏返せないので、上下だけ入れ替えます。
下に敷くものを見直す。 床に直接敷いている場合、湿気で劣化が早まります。手入れの手順は布団の黒い点の見分け方にまとめています。
これで沈み込みが変わらないなら、買い替えの段階です。
硬さで、寝ている姿勢は実際に変わります
硬さ3種類(soft / medium / hard)で寝姿勢を測った2022年の研究では、mediumと比べて、softでは頭の位置が30.5±15.9mm、首のカーブの位置が26.7±14.9mm動きました。hardでは腰のカーブが10.6±6.8mm浅くなっています。
やわらかいほうが体は沈み、硬いほうが腰のカーブは浅くなる、という順当な結果ですが、mm単位で実際に変わることが確認されています。
寝返りのしやすさも関係します。高齢者10名を対象にした国内の研究では、寝返りしにくく不快なマットレスのとき、睡眠前半の覚醒の割合が有意に増えたと報告されています。
なお、硬さと寝返り回数の関係は男女で逆向きの結果も出ており、「硬いほうが寝返りしやすい」と単純には言えません。最後は実際に寝てみるのが確実です。
選ぶときに見る3点
- 硬さ(N)が数値で書かれているか。 「かため」だけでなく数値があれば他社と比べられます
- 復元率(%)が実測値で書かれているか。 ウレタンなら法定表示です
- 返品・返金の条件。 数値だけでは寝心地は決まりません。合わなかったときの条件を先に確認してください
厚みや素材で迷う場合も、まず硬さの数値と復元率で候補を絞ってから、寝心地を確かめる順番が確実です。
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