動かすのは量より先に、時刻です。 カフェインは、思っているよりずっと前に飲んだ分が残ります。
お酒は、眠りの後半を悪くします
寝酒がよく眠れるように感じるのは、前半だけ本当です。厚生労働省の睡眠ガイドは、こう書いています。
アルコール(エタノール)は一時的には寝つきを促進し、睡眠前半では深い睡眠を増加させます。しかし、睡眠後半の眠りの質は顕著に悪化し、飲酒量が増加するにつれて中途覚醒回数が増加することが報告されています
夜中に目が覚めるのは、寝つきの良さと引き換えに来ています。 同じガイドによれば、体内で作られるアセトアルデヒドが強い交感神経刺激作用を持ち、睡眠を妨げる物質を増やします。
もうひとつ、日本で意味の大きい記述があります。
ALDHの活性が低い人は飲酒後に顔が赤くなりやすい等の特徴があり、日本人を含むアジア人は西欧人やアフリカ系の人より活性が低い人が多いことが知られています。ALDHの活性が低い人は、アルコール摂取量が少量でも影響を強く受けやすいのでより一層注意が必要です。
顔が赤くなりやすいなら、量が少なくても夜中に響きます。 「これくらいなら大丈夫」の基準を、人と合わせないでください。
そして、寝酒はやめにくくなります。ガイドは「連用することで依存や耐性を形成し、離脱作用によってアルコールを飲まないとよく眠れない状態に至る可能性があります」としています。
カフェインは、13時間前でも届きます
ここが、この記事でいちばん意外なところだと思います。睡眠ガイドが引いている系統的レビュー(18〜65歳の成人が対象)の結果です。
カフェイン摂取量が107mgを超過すると、摂取時刻が就寝時刻の約9時間前であっても、夜間の睡眠に影響し、カフェイン摂取量が217.5mgを超過すると、約13時間前の摂取であっても夜間の睡眠に影響することが示されています
0時に寝る人なら、こうなります。
| 量 | コーヒー換算 | 影響が出た摂取時刻 | 0時就寝なら |
|---|---|---|---|
| 107mg超 | カップ1杯強 | 就寝の約9時間前 | 15時 |
| 217.5mg超 | カップ2杯強 | 就寝の約13時間前 | 11時 |
コーヒー換算は、ガイドが示す「カフェイン400mgの目安は、ドリップコーヒーで珈琲カップ4杯分(700cc)」から割り戻したものです。1杯あたり約100mgになります。
昼前のコーヒー2杯が、その日の夜中に届いているという計算です。「夕方以降は控える」では足りない場合があります。
半減期のほうも数字が出ています。日本人の血中半減期は3〜7時間とばらつきがあり、半減期5時間なら「19時に100mgのカフェインを摂取すると、24時になっても50mg分のカフェインが体内に残存する」。
そして総量です。1日400mg(コーヒー700cc、市販ペットボトルコーヒー1.5本分)を超えると、「1日のどの時点であっても(仮に朝の摂取であったとしても)睡眠に悪影響を与える可能性があります」。
高齢になるほど代謝が落ちるので、少量でも影響が出やすくなります。
今日から動かせるのは、時刻のほう
量を減らすのは急には難しいので、同じ量を前に寄せるところから始められます。
① 最後の1杯を決める。 0時就寝なら15時。これだけで、107mgの線は越えにくくなります。
② 午後は茶葉を使わないものに替える。 ガイドが挙げているのは「麦茶、そば茶、黒豆茶、とうもろこし茶、その他カフェインを含まないハーブティー」です。緑茶・紅茶・ウーロン茶は同じ茶葉から作られるので、カフェインが入っています。
③ エナジードリンクは朝だけにする。 ガイドは「コーヒーの5倍近いカフェインを含有する製品が存在する」として、摂取は朝に限るようすすめています。
④ お酒は、眠るために飲まない。 寝つきのために飲むと、後半で返ってきます。
たばこも同じ枠に入ります
睡眠ガイドは、嗜好品の3つ目としてニコチンを挙げています。
喫煙(紙巻きたばこ、加熱式たばこ等のニコチンを含むもの)は、睡眠の質を悪化させる可能性がある。
加熱式たばこも同じ扱いです。寝る前の1本は、カフェインと同じ側に入ります。
時刻を直しても目が覚めるなら
嗜好品の時刻を動かしても夜中に目が覚めるなら、次に見るのは寝床の側です。
- 今夜の対処は夜中に目が覚めたときにすることにまとめました。時計を見ない、明かりを最小限に、というところから始まります
- 寝返りのしにくさが原因なら寝返りが打ちにくいと感じるとき、マットレスのへたりならマットレスのへたりの判定です
- 暑さや汗で目が覚めるなら布団の下の湿気対策も見ておいてください
夜中にトイレで起きる回数が多いなら、ガイドは減塩にも触れています。「日ごろから減塩を心がけることで、夜間頻尿が軽減し、夜中に目覚める頻度が減少することが期待できます」。
いびきの最中に息が止まっていると言われたことがある、あるいは日中に強い眠気があるなら、そこは環境より医療機関が早い段階です。医療機関に頼る4つのサインを確認してください。
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