遠くに置くほど、耳に届く音は小さくなります。 「起き上がらないと止められない位置に置く」は、気づくこと自体を難しくしています。
距離が2倍になると、音は6dB小さくなります
音は広がりながら薄まります。日本建設業連合会の用語解説は、こう説明しています。
点音源:音源から発生する音は球面上に(あらゆる方向に)広がっていく。距離が 2 倍になると面積が 4 倍となり、エネルギーの密度は 1/4 になるため、音圧レベルは 6 dB 小さくなる。
目覚まし時計は、この点音源にあたります。距離を2倍にするたびに6dBずつ下がる、ということです。
| 置き場所 | 枕元50cmからの距離 | 下がる量 |
|---|---|---|
| 枕元(50cm) | ─ | ─ |
| ベッドの足元(1m) | 2倍 | 6dB |
| 部屋のドアのそば(2m) | 4倍 | 12dB |
| 部屋の反対側(4m) | 8倍 | 18dB |
18dBがどのくらいかというと、消防研究所の資料が日常の音を並べています。「静かな声の会話で40dB、普通の声の会話で60dB、大きな声の会話で80dB」。つまり大きな声だったものが、普通の声どころかそれ以下になるくらいの差です。
ただし、これは反射のない空間での計算です。実際の部屋では壁や天井で音が反射するので、計算どおりには下がりません。 方向として小さくなる、というところまでを目安にしてください。
「1m離れた位置で」という決め方
眠っている人を音で起こすことについて、国が数字を決めている例があります。住宅用火災警報器です。
消防研究所の資料によれば、警報音の音圧は平成17年の総務省令で「警報部の中心から1m離れた位置で70dB以上」と定められています。建物用の自動火災報知設備なら「音響装置の中心から1m離れた位置で90dB以上」です。
ここで見てほしいのは、数値が「1m離れた位置で」という距離とセットで決められていることです。距離を書かない音の大きさには、意味がありません。
これは火災警報器の規格であって、目覚まし時計の基準ではありません。ただ、音の大きさは距離とセットでしか語れないという考え方は、そのまま持ち帰れます。同じ構図は光目覚ましのルクス表示にもあり、光目覚まし時計の選び方にまとめています。
起き上がらせたいなら、音ではなく光で
「止めるために起き上がる位置に置く」という工夫には、届く音が小さくなるという代償があります。分けて考えると整理できます。
音は枕元に置く。 気づかせるのが役目です。距離で損をさせません。
起き上がる仕掛けは、光で用意する。 光は部屋全体を明るくするので、布団の中にいても届きます。
厚生労働省の睡眠指針は、朝の光の役割をこう説明しています。夜型化してしまう原因は「朝、暗いままの寝室で長い時間を過ごすことで、起床直後の太陽の光を浴びていない」ことにある、と。起きられないことと、朝が暗いことはつながっています。
今夜からできるのは、カーテンを少し開けて寝ることです。 朝の光が勝手に入ってきます。日の出が遅い時期や、窓の向きで光が入らない部屋なら、光で起こす道具のほうを検討する段階です。判断の材料は光目覚まし時計の選び方にあります。
耳栓を使っている場合
耳栓をして寝ているなら、遮音の数字が大きいものほど良いわけではありません。目覚ましが聞こえる範囲で選ぶのが前提になります。選び方は睡眠用の耳栓の選び方にまとめました。
何個かけても起きられない日が続くなら
置き場所の問題ではなく、眠っている時間そのものが足りていない可能性があります。厚生労働省の睡眠ガイド2023は、慢性的な睡眠不足の状態についてこう書いています。
通常、目覚まし時計を使ったり、他人に起こしてもらうなどして起床しますが、このような手段を用いなければ、ほとんどの場合は通常より長く眠ります。
目覚ましなしでは起きられない、という状態そのものが手がかりになります。休みの日に何時間眠るかを見てみてください。
そのうえで、布団にいた時間と実際に眠っていた時間を分けて数えるところから始められます。手順は布団に入ると目が冴えるときに書きました。計測アプリの数字の読み方は睡眠を数値で見るときに分かることです。
日中に強い眠気があって生活に支障が出ているなら、そこは環境の工夫より医療機関が早い段階です。目安は医療機関に頼る4つのサインで確認できます。
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